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建築素材を訪ねる旅「深岩石」「大谷石」
更新:2011-12-15 9:21:17   閲覧数:1865
建築を学ぶプロのための勉強会に参加させていただき、今回は、懐かしい響きのある「大谷石」を探して、栃木県を歩きました。
大谷石は一般的な石塀に使われる材料で、栃木県宇都宮市大谷町付近一帯の地下から採掘される、流紋岩質角礫凝灰岩の総称です。取れる場所の違いがや微妙な特徴を捉えて「深岩石」と呼ばれる石もあります。昭和の頃は、どこの家でも使っていた素材ですが、生産性や施工手間の簡単なコンクリートブロックの勢いに押された事などで使われなくなり、最近はあまり見かけなくなってしまいました。
今回はまずは露天掘りの迫力を見てみようと、ド迫力でそびえ立つ「深岩石」の石切場を訪れました。

さっそく採掘を実演してくださいます。
足元の石に大きなカッターで切り込みを付けます。









そして大地と切り出す石の間に穴を開け、楔を打ち込み、2人の職人が息を合わせてゲンノウでカンコンカンコン叩き入れて行きます。









「石が大地から離れた」その瞬間、生まれたての石は瑞々しく、意外にも柔らかくしっとりと青く潤っています。
シエナの大理石に色目が似ている青目(青味かかった色の石)は強度が高く、黄色味のある白目は高価に取引されるのだとか。







この石は温泉旅館の歩廊に使うとゲタの響きがほどよく、御影石のようにカチンカチンうるさくないところが良いそうです。住宅の玄関土間に使えば、誰もが一目置く上品な空間にまとまりそうですね。
深岩石の採掘場では丸ノコやサンダーで石がテキパキと加工され、石塀となる部材が次々に生み出されていました。






さて次は場所を移動して地下掘りの、「大谷石」採掘場へ。
山肌から洞窟に入るように掘って行くのかと想像していましたが、案内していただいたのは、駐車場のような平坦地。一角にフェンスで囲われ重機が取り付けられた鉄骨の櫓がありました。
フェンスの隙間から下を覗くと、深い深い闇が地下に向かって伸びていました。
華奢な鉄骨と細い材木で作られた階段を恐る恐る降りつつ、時々下を覗いては足がすくみ、鼓動が早まるような深さです。(写真は地下から地上を仰ぎ見た様子です)
地下50mの地底の世界は、投光器が不均等に照らす静謐な世界。
石の間から浸み出す地下水がポチャンッと鮮明に響きます。
普段、職人は2〜3人で作業し、切り出した大谷石を重機で吊り上げるそうですが、昔は100キロ以上ある石材を職人が背負ってハシゴを登り、事故も多かったそうです。
地下なので外気の影響が少なく「夏涼しく冬は暖かい」とか。それでも常に湿度が高く、暗くジメジメした環境は苛酷で、大谷石の市場の衰退と共に職人が離れていった事は容易に理解できました。
最盛期には200軒ほどあった採掘場が現在では6軒に減ったそうです。
でも、この日見学させていただいた採掘場は昨年掘り始めたばかり。莫大な初期投資を掛けても一部の高級志向ニーズにしっかり応えて行く事で商売はやって行けるとの事。
どんどん掘り進めて行く予定の図面もしっかり出来ていました。

工期に追われて住宅を作っていると規格サイズのタイルに手が伸びてしまいがちですが、今回、素材の素晴らしさを再認識し、深い地中から掘り出された地球の一部を、大切に建築に利用し、石に新しい息吹を与えてあげたいとの思いを新たにしました。

建築素材を訪ねる旅は、まだまだ続きます!

 
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